
震えているのに高熱、今すぐどうすれば良いのか迷ったときに
夕方から急に熱が上がり、お子様がガタガタと震え出す。厚着をさせるべきか、それとも冷やしたほうがいいのか——判断に迷う保護者の方は少なくありません。発熱には段階があり、震えている時期と熱が上がりきった時期とでは、体が求めているケアが変わってきます。この記事では、小児科医監修のもと、状況別のホームケアの考え方と、受診を検討したい目安を整理しました。判断の軸を持っておくと、夜間でも落ち着いて動きやすくなります。
この記事の要点まとめ
- 手足の温度で「体温上昇期」か「解熱期」かを見極め、震えている間は温め、汗ばんだら冷やす対応を検討します。
- 冷却グッズは首・脇・そけい部にタオル越しで使い、本人が嫌がらない範囲で取り入れます。
- ぐったり・呼吸異常・けいれん・生後3か月未満の発熱などは、時間帯を問わず受診の検討が望まれます。
目次
- 震えながらの高熱、体は今どちらを求めている?
- 発熱のメカニズムから見る「震えている時」と「上がりきった後」の違い
- 冷却グッズを使う際に意識したい当て方と注意点
- 家庭で夜間でも判断しやすい受診の目安
- 発熱時にも相談しやすいつくばキッズクリニックの診療体制
- よくある質問
- 参考文献
震えながらの高熱、体は今どちらを求めている?

38度台の熱があるのに「寒い」と震えている。一見矛盾して見えるこの状態こそ、多くの保護者の方が迷う場面ではないでしょうか。
発熱は、体が病原体と闘うために自ら体温を引き上げている防御反応と考えられています1。震えは、体が「もっと熱が必要だ」と発しているサインというわけです。この段階と、目標の温度に届いて汗をかき始めた段階とでは、必要なケアがちょうど逆向きになります。
判断の軸は「手足の温度」
体温計の数字だけを追っていても、今どちらの段階にいるのかは分かりにくいものです。目安になるのは手足の温かさです。
- 手足が冷たく、顔色がやや白い、震えている → 体温上昇期(温めたい段階)
- 手足が温かく、顔が赤い、汗ばんでいる → 上がりきった段階(熱を逃がしたい段階)
「汗をかかせて熱を下げる」という考え方について
昔からよく聞く方法ですが、厚着のまま熱が上がりきると、熱がこもって不快感が強まることもあります。保温は震えている間の一時的な対応と割り切り、段階が変わったら切り替える。この切り替えの意識が、家庭でのケアでは大きな意味を持ちます。
見落とされやすいポイント
熱の高さと病気の重さは、必ずしも比例するとは限りません。39度でも遊べているお子様もいれば、38度でぐったりしているお子様もいます。数字よりも、機嫌・水分のとれ具合・呼吸の様子といった全身の状態を見る視点を持っておきたいところです。
発熱のメカニズムから見る「震えている時」と「上がりきった後」の違い

発熱は、脳の視床下部にある体温調節中枢が、目標とする体温(セットポイント)を普段より高く設定し直すことで起こるとされています1。体はその目標に届くまで筋肉を細かく震わせて熱をつくり、皮膚の血管を締めて熱が逃げるのを抑えます。手足が冷たくなるのは、そのためです。
悪寒・震えがある「体温上昇期」の対処法
まだ目標の温度に届いていない段階なので、体は熱を欲しがっている状態と考えられます。
1. 靴下や薄手の上着で手足を温める(末梢が冷えていると本人のつらさが増しやすい)
2. 掛け物を1枚足し、室温は暖かめに保つ
3. 冷却シートや氷枕はこの時期には向きにくいため、震えが落ち着くまで待つ
4. 水分は少量ずつこまめに。経口補水液や麦茶など、飲み慣れたもので構いません
この時期に無理に冷やそうとすると、体はさらに熱をつくろうとして震えが強まり、かえってつらさにつながることもあります。
熱が上がりきった後の「解熱期」の対処法
顔がほてり、手足が温かくなって汗ばんできたら、段階が切り替わったサインです。
- 掛け物を減らし、厚着を見直して熱を逃がしやすくする
- 汗をかいたらこまめに着替えさせ、冷えすぎを防ぐ
- 本人が冷たさを心地よさそうにしていれば、冷却グッズを取り入れる
- 発汗で水分が失われやすいため、水分補給の意識は続ける
見分けるポイントは「体温計の数字」ではなく「お子様の手足と表情」です。
注意しておきたいこと
解熱剤は熱を下げること自体が目的ではなく、つらさをやわらげて休息や水分摂取を助ける目的で用いるものと考えられています。使う場合は年齢・体重に応じた用量を守り、迷うときは医師や薬剤師にご相談ください。
冷却グッズを使う際に意識したい当て方と注意点
熱が上がりきり、お子様自身が冷たさを嫌がらない段階に入ったら、氷枕や保冷剤の出番です。ただし、当てる場所と方法には押さえておきたい点がいくつかあります。
熱を逃がしやすいとされる部位
体の表面近くを太い血管が通る場所に当てると、冷やされた血液が全身をめぐりやすいと考えられています。
- 首の付け根(左右の側面)
- 脇の下
- 太ももの付け根(そけい部)
額に貼るタイプの冷却シートは、清涼感で気分が落ち着くお子様もいますが、体温そのものを下げる働きは限定的とされています。本人の心地よさを優先し、嫌がるようなら無理に続けないことが大切です。
使用時の注意点
- 保冷剤は必ずタオルやガーゼで包み、肌に直接当て続けない
- 同じ場所に長く当てず、時々位置を変える
- 冷やしすぎて震えが出てきたら、いったん中止する
- 乳児では冷却シートがずれて口や鼻をふさがないよう、目を離さない
- 眠っている間に冷えすぎていないか、ときどき手足を触って確かめる
グッズがなくても対応できること
冷却グッズが手元になくても、室温を1〜2度下げる、掛け物を薄くする、汗を拭いて着替えさせる。この程度の調整でも熱は逃げやすくなります。むしろ、ぬるめの濡れタオルで体をやさしく拭いてあげるほうが落ち着くお子様もいます。道具にこだわらず、そのときの様子に合わせて選んでいただければと思います1。
家庭で夜間でも判断しやすい受診の目安

夜間、頼れる人が近くにいない状況で発熱に向き合うのは、やはり心細いものです。だからこそ「何を見るか」をあらかじめ決めておくと、判断がぐっと楽になります。
一晩様子を見て翌朝の受診を検討しやすいケース
- 熱はあるが、あやすと笑う・目線が合うなど反応がしっかりしている
- 水分がとれていて、おしっこが半日以内に出ている
- 呼吸が苦しそうな様子はなく、顔色も保たれている
- けいれんや意識の変化がない
こうした状態であれば、水分と休息を意識しながら経過を見て、翌朝に小児科を受診するという選択肢もあります。
時間帯にかかわらず速やかな受診を検討したい様子
- ぐったりして呼びかけへの反応が乏しい、視線が合わない
- 顔色がすぐれない、唇や爪の色が普段と違う
- 呼吸が速い、肩で息をする、ゼーゼーしている
- 白目をむく、手足を突っ張る、体がガクガクする(熱性けいれん)
- 水分をまったく受け付けず、半日以上おしっこが出ていない
- 生後3か月未満での発熱
けいれんが起きたときは、まず衣服をゆるめて横向きに寝かせ、口の中に物を入れないようにしてください。始まった時刻と続いた時間を控えておくと、診察時の情報として役立ちます1。
事前の備えが心の余裕につながります
夜間・休日に対応している救急病院や小児救急電話相談(#8000)の連絡先を、スマートフォンに登録しておくとよいでしょう。当院ホームページには診療カレンダーも掲載しており、翌日の診療体制をご確認いただけます。
発熱時にも相談しやすいつくばキッズクリニックの診療体制
当院では、発熱や咳などの症状がある患者さまと、予防接種・乳幼児健診で来院される患者さまの動線を分けています。予防接種と健診は感染対策を目的とした専用の「かりん棟」でご案内し、受診にともなう感染の機会をできるだけ減らせるよう配慮しています。
院内には9つの完全個室診療室があり、受付後はそのまま個室でお待ちいただけます。周囲を気にせず、経過や気がかりな点をゆっくりお話しいただける環境です。
発熱の背景を確認するための院内検査
PCR検査機器、エコー検査機器、レントゲンを備えており、発熱の背景にある状態を必要に応じて院内で確認できる体制を整えています。診察と組み合わせることで、その日の状況に応じた説明や方針のご相談がしやすくなります。
受診時に伝えていただきたい情報
診察をスムーズに進めるため、次の点をメモしておいていただけると助かります。
- 熱が出始めた日時と、これまでの体温の推移
- 水分や食事がどのくらいとれているか
- 発疹、嘔吐、下痢、咳などの症状の有無
- 解熱剤を使った時刻と、その後の様子
- 保育園や家庭内での感染症の流行状況
予約について
当院は完全予約制で診療しています。 ただし、けいれん、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、意識がはっきりしないなど緊急性が疑われる場合は、まず状態を確認し、必要な対応をいたします。院長は小児救急センターで長年診療に携わってきた経験から、ご家族の「いつもと違う」という気づきを大切にしています。つくば市で発熱時の対応に迷われたときは、経過を記録したうえでご相談ください。
よくある質問
Q1. 熱が上がっている時に厚着をさせても良いですか?
A. 手足が冷たく震えている「体温上昇期」であれば、靴下や上着で温め、掛け物を1枚足す対応が参考になります。顔が赤くなり汗ばんできたら熱が上がりきったサインと考えられますので、その時点で厚着や掛け物を減らし、熱を逃がしやすい状態へ切り替えてください。
Q2. 保冷剤や氷枕はどの時期から使って良いですか?
A. 手足が冷たく震えている間は避け、手足が温かくなってからのご使用をご検討ください。首の付け根や脇の下など太い血管が通る部位にタオル越しに当て、嫌がる場合は無理に続けないようにしましょう。
Q3. 熱性けいれんが気がかりです。どのタイミングで受診すれば良いですか?
A. 白目をむく、手足を突っ張る、体がガクガクと震えるといった様子が見られた場合は、始まった時刻を記録したうえで速やかに受診してください。数分でおさまったときでも、初めてのけいれんや繰り返す場合は、当日中の受診が望ましいとされています。
Q4. 解熱剤はどのタイミングで使えば良いですか?
A. 熱の数値そのものではなく、機嫌が悪い、水分がとれない、眠れないなど本人がつらそうな様子が目安になります。使用後も様子が変わらないときや、他の症状をともなうときは、受診のうえでご相談ください。
Q5. お風呂に入れても差し支えないでしょうか?
A. 機嫌がよく、水分もとれていて元気があるようなら、短時間のシャワーや入浴で汗を流すこと自体は問題になりにくいとされています。ぐったりしている、震えているといった場合は見送り、体を拭くだけにとどめましょう。
参考文献
1. 日本医師会. 医療・健康情報(疾病、発熱時の対応、患者と医療者の情報). https://www.med.or.jp/
1998~2002年 筑波大学附属病院小児科、きぬ医師会病院小児科、茨城県立こども病院新生児科、牛久愛和総合病院小児科
2002~2007年 筑波メディカルセンター病院 小児科
2008~2014年 筑波メディカルセンター病院 小児科医長
2014~2015年 茨城西南医療センター病院 小児科科長
2015年10月 つくばキッズクリニック開設
日本内分泌学会認定 内分泌代謝科(小児科)専門医
日本成長科学協会地区 委員
日本小児科医会 地域総合小児医療 認定医
日本小児救急医学会
日本小児アレルギー学会
日本小児内分泌学会
日本糖尿病学会
日本夜尿症・尿失禁学会
