身長は遺伝で決まる? 親の身長から予測できること(こどもの身長豆知識 vol.3)|つくば市の小児科|つくばキッズクリニック

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身長は遺伝で決まる? 親の身長から予測できること(こどもの身長豆知識 vol.3)

「私が小さいから、この子も小さくなるのかな…」 「夫婦ともに背が低いけれど、子どもは大きくなれる?」 「両親が高身長なのに、なぜか子どもの伸びが悪い気がする…」


身長と遺伝の関係は、保護者の方からとてもよく寄せられる質問です。今回は、遺伝が身長に与える影響と、親の身長から子の最終身長を予測する方法について、わかりやすく解説します。


結論:身長の約8割は遺伝、残り2割は環境

現在の研究では、身長の約75〜80%は遺伝で決まるとされています。残りの20〜25%は、栄養・睡眠・運動・病気の有無など、環境要因によって変動します。


つまり、


  • 遺伝の影響は確かに大きい(ベースは決まっている)
  • しかし、環境次第で2割も変わる可能性がある(最大10〜15cm程度)

ということになります。「遺伝だから仕方ない」とあきらめる必要はなく、また「努力すれば誰でも高くなれる」ということでもない、というのが医学的な事実です。


ターゲットハイト:親の身長から予測する計算式

両親の身長から子どもの最終身長を予測する、「ターゲットハイト(target height)」 という計算式があります。これは小児科の診療現場でも実際に使われている、世界共通の予測法です。

計算式

男の子:
(父親の身長 + 母親の身長 + 13)÷ 2


女の子:
(父親の身長 + 母親の身長 − 13)÷ 2


「13」という数字は、男女の平均身長の差(成人で約13cm)を補正するためのものです。

計算例

例:お父さん175cm、お母さん160cmのご家庭


  • 男の子の場合:(175 + 160 + 13) ÷ 2 = 174cm
  • 女の子の場合:(175 + 160 − 13) ÷ 2 = 161cm

ただしこれは「中央値」であって、ピンポイントの予測ではありません。実際には ±9cm程度のばらつき があります。つまり男の子なら165〜183cm、女の子なら152〜170cmの範囲に収まる可能性が高い、という意味です。



ターゲットハイトの「使い方」と「限界」

使い方:受診時の評価指標として

医療現場では、お子さんの現在の身長や成長曲線を「ターゲットハイト」と照らし合わせて、遺伝的な身長範囲から外れていないかを確認します。たとえば、


  • ターゲットハイトに対して大きく下回っている → 病気が隠れている可能性
  • ターゲットハイト通りに伸びている → 体質性の低身長の可能性が高い

といった判断材料になります。

限界:あくまで「予測」であり「確定」ではない

ターゲットハイトには、次のような限界もあります。


  • ±9cmの幅がある(ピタリとは当たらない)
  • 病気があると予測通りにならない(成長ホルモン分泌不全症、思春期早発症など)
  • 環境要因で変動する(栄養・睡眠・運動・心理的ストレス)
  • 両親の最終身長が成長期の影響を受けていた場合、計算が実態に合わないことも

「両親が低いから諦める」は間違い

ご両親の身長が平均より低めでも、お子さんがターゲットハイトを大きく超えて伸びるケースは実際にあります。理由は次の通りです。


  1. 環境要因の改善  ご両親の世代と比べて、現代の子どもは栄養状態・医療環境が向上しています。実際、日本人の平均身長は戦後数十年で大きく伸びました。

  1. 隔世遺伝  祖父母世代に高身長の方がいる場合、その遺伝子が孫世代で発現することもあります。

  1. 病気の早期発見・治療  成長ホルモン分泌不全症などの病気が原因で低身長になっている場合、適切な治療によってターゲットハイトを超える身長まで伸びることもあります。

  1. 思春期のタイミング  思春期が遅めに来るお子さんは、伸びる期間が長くなり、結果的に予測より高くなる傾向があります。

逆に「両親が高いのに伸びない」場合は要注意

ターゲットハイトの予測値より大きく下回って成長している場合は、遺伝以外の要因が隠れている可能性があります。


  • 成長ホルモンの分泌不全
  • 甲状腺機能低下症
  • 思春期早発症(早く伸びて早く止まる)
  • 慢性疾患(消化器・腎臓・心臓など)
  • 栄養不足や睡眠不足

これらは早期発見・早期治療で改善できるものが多いため、「両親が高いのに、うちの子だけ伸びが悪い」と感じたら、一度当院の小児内分泌専門医にご相談ください。


まとめ

  • 身長は約 75〜80%が遺伝、20〜25%が環境 で決まる
  • 親の身長からの予測式(ターゲットハイト)は ±9cmの幅 がある
  • 「両親が低いから諦める」必要はない — 環境改善・治療で伸びることも
  • 「両親が高いのに伸びない」場合は要注意 — 病気が隠れている可能性
  • 気になることがあれば、早めに成長専門外来で相談を


当院の成長専門外来では、お子さんの成長曲線とターゲットハイトを一緒に確認しながら、必要な検査や治療をご提案しています。
「うちの子は遺伝通りに伸びているのか心配」「両親の身長から考えても低すぎる気がする」といったご相談もお気軽にどうぞ。


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