「うちの子、去年より伸びた気がするけど、正常な伸び方なのかな?」 「クラスで一番小さいけれど、大丈夫かな?」
そんな時に役立つのが 「成長曲線」 です。成長曲線は、お子さんの身長を「量」ではなく「伸び方」で評価するための、最も大切なツールです。
今回は、成長曲線の読み方と使い方を、小児内分泌専門医の視点からわかりやすく解説します。
成長曲線とは?
成長曲線とは、同性・同年齢の子どもたちの身長・体重の分布を、年齢ごとに線で表したグラフです。
日本では、文部科学省の学校保健統計調査や厚生労働省の乳幼児身体発育調査をもとに作られた標準的な成長曲線が広く使われています。
グラフには通常、次のような基準線が引かれています。
- +2SD(同年齢の上位約2.3%)
- +1SD(上位約16%)
- 平均(50パーセンタイル)
- -1SD(下位約16%)
- -2SD(下位約2.3%=「低身長」の医学的基準)
お子さんの身長を年齢ごとに点で打ち、線でつないでいくと、お子さん自身の「成長の軌跡」が見えてきます。
一番大切なのは「カーブに沿っているか」
成長曲線を見るときに最も重要なのは、身長の絶対値ではなく、「お子さんの軌跡が基準線のカーブに沿っているかどうか」です。

上の図は、3人の子どもの成長パターンを示しています。それぞれの意味を見ていきましょう。
① 正常な発育(緑の線)
基準線のカーブに沿って、ほぼ平行に伸びているパターンです。
身長が平均より高くても低くても、カーブに沿って伸びていれば基本的に問題はありません。
たとえば-1SDのラインに沿って伸び続けているなら、それはその子の「体質」であることが多く、心配いらないケースが大半です。
② 成長障害の疑い(赤の線)
最初は平均近くにいたのに、年齢とともに少しずつ下にずれていくパターンです。
これは「成長速度が落ちている」サインで、成長ホルモン分泌不全症や甲状腺機能低下症など、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
絶対値は-2SD未満でなくても、曲線から外れていくこと自体が受診のサインです。
③ 思春期早発症(オレンジの線)
低年齢の頃から急激に身長が伸びて、一気に上の基準線を越えていくパターンです。
一見「よく伸びている」ように見えますが、思春期が早く始まると骨の成熟も早く進み、最終的には低身長で終わってしまうことがあります。
早期の診断・治療が必要です。
成長曲線でわかる「受診のサイン」
次のような変化が見られたら、小児内分泌専門医への相談をおすすめします。
|
サイン |
具体的な目安 |
|---|---|
|
カーブから下にずれる |
以前より基準線の下側に離れていく |
|
カーブから上にずれる |
急激に基準線を越えて上昇する |
|
身長が-2SD未満 |
同性・同年齢の平均より大きく下回る |
|
成長速度の低下 |
1年間の伸びが4cm未満(学童期) |
|
左右で大きく違う |
身長と体重の軌跡がアンバランス |
自宅でできる成長曲線のつけ方
成長曲線は、ご家庭でも簡単につけることができます。
- 身長を正しく測る
**できるだけ同じ時間帯(朝がおすすめ)**に、壁に背をつけて靴下を脱いで測定しましょう。
頭のてっぺんに定規などをあてて、床からの高さを測ります。
- 3〜6ヶ月に1回は記録する
母子健康手帳の成長曲線ページを活用するのもおすすめです。
- 点を線でつなぐ
カーブに沿って伸びているか、ずれてきていないかを確認しましょう。
- 学校の身体測定データも活用
結果を必ず記録し、成長曲線に反映させましょう。
無料で使える成長曲線ツール
最近では、日本小児内分泌学会が公開している成長曲線作成ツールが便利です。
身長・体重・年齢を入力するだけで、自動的に成長曲線を描画してくれます。
ご興味のある方は「成長曲線 日本小児内分泌学会」で検索してみてください。
まとめ
- 成長曲線では 「カーブに沿っているか」 が最も大切
- 以前の線から 下にも上にもずれてきたら 受診のサイン
- 身長が平均より低くても、カーブに沿っていれば基本的に心配なし
- 3〜6ヶ月ごとに身長を記録し、線でつないでみよう
- 気になる変化があれば、早めに小児内分泌専門医へ
当院の成長専門外来では、お子さんの成長曲線を一緒に確認しながら、適切な評価と必要な検査をご提案しています。
「成長曲線のつけ方がわからない」「今までの記録を見てほしい」といったご相談もお気軽にどうぞ。
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